・・・SPOT LIGHT・・・

(トライアスロンJAPAN 2001.10月号より)



TJ アイアンマン初優勝おめでとうございます。もう何度も言われたことだと思いますが、これは日本人女性で初快挙でもあります。
奥田さんはこれまでオーストラリアで選手活動を続けてこられたそうですね。

奥田 96年の10月からです。当時は実業団ランナーだったんですが、ケガなどが続き陸上競技に見切りをつけようと考えていました。そこで今のコーチのパ庸子写真ブロ(ボーイフレンドでもある)に会ったことが、トライアスロンを始めるきっかけです。以後、スポーツビザを取得するなどして、シドニーを拠点にしてきました。

TJ 奥田さんのこれまでのキャリアを見ていると、ロングデイスタンスがはとんどですが。

奥田 初レースから下北国際でしたからね。始めたときからショートよりもロングに魅力を感じていたし、自分に適正があるとも思っていました。それに私、スイムが遅いんで。

TJ 昨年の日本選手権(佐渡)が5位。そして今年のオーストラリア(アイアンマン)3位と着実にステップアップしてきていますね。

奥田 あの(オーストラリア)ときは自分白身、予想していた以上の結果で本当に感動しました。バイク終了時で9位だったのですが、まだ足を残していたし、自分の得意なランどんどん前を抜いていけたので、走っていても楽しかった。

TJ ランもさることながら、そのときのバイクラップが特筆ものです。あのロリー・ポーデンと12分しか変わらない。しかも足を残して、というのならなおさらです。だから、今回(アイアンマンジャパン)の予想ではバイクからに一気抜け出しても何らおかしくないかな、と。

奥田 ルイス(※)がいたらまた違った展開になっていたでしょうね。バイク途中、沿道の何人かが教えてくれたんですけど、(すでにトップに立っているとは)信じられなかった。被女が絶対に前にいると思っていたので。本当に自分がトップだと知ったのはバイクフィニッシュ時だったんです。

TJ ちょっと、拍子抜けした?

奥田 確かにそれは少しあったけど、後ろからライバルたちが来ているので油断はできなかった。
 さらに今回のランは「守りの走り」というか、確実にフィニッシュできるように心がけました。いつもなら最初から飛ばして行くのですが、このコンディションでしたからね。あえてピッチでリズムをとって、確実に補給して無理のないようにと。

TJ アイアンマンはこれで3回目。全体のキャリアもまだ10戦にも満たないのに、なかなかそういった冷静な判断はできないもの。たいしたものですね。

奥田 昔はマラソンをやっていたので、その経験は大きいと思います。あと、勝つには運も必要だとすごく感じました。

TJ 優勝は最初から狙っていました?

奥田 確かにチャンスはあると思っていましたが、気持ちは最後までチャレンジャーでしたね。

TJ この後、ハワイ(アイアンマン)にも挑戦するんですよね。

奥田 はい。ただ、どちらかというと今シーズンは日本大会をメインに考えていたので、初めてのハワイは経験をつむくらいの気持ちで臨むつもりです。もちろん出場するからにはベストをつくしますよ。プロでハワイヘクオリフアイすること自体、なかなかできないことでしょうから。
 それにしても日本のレースがこれだけハードだとは思わなかった。このコンディションで完走できたこと自体、誇りに思いますし、ほかの人たちも素晴らしいと素直に感じます。この厳しさ、ハワイと比較してどうですか?

TJ うーん。またちょっと厳しさの質が違うレースというか……。

奥田 日本人はマラソンが得意でしょ。そこが有利に働くと思うし、私は可能性を感じるのですが。

TJ その上、奥田さんはバイクの強さも十分兼ね備えている。今までになかったタイプの日本人選手といえるかもしれません。

奥田 とりあえす1回目だし雰囲気を楽しむくらいにリラックスできればいいですね。あまり欲張ると、いいこともありませんから(笑)。

※オーストラリアの女性有力選手。今回はバイク序盤にホイールトラブルに見舞われ、残念ながらリタイアしている。

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