トレーニングメニュー公開
(トライアスロンJapan誌2002.1月号掲載)

-3シーズン目でアイアンマン優勝を手にした奥田庸子のトレーニング
 SB食品陸上部で走っていた奥田が、実業団生活にピリオドを打ち、オーストラリア・シドニーに渡ったのが96年。そしてトライアスロンのためのトレーニングを開始したのは、98年後半になってから。現在奥田のコーチであり、またよきパートナーでもるパブロさんと出会ったことがきっかけだった。つまり2001年は、奥田にとってトライアスロン3シーズン‥目でしかない。
 オーストラリアのアイアンマン3位、そしてアイアンマンジャパン優勝と、ロングの世界で確かな実績を残せたこのシーズンのトレーニングを見てみよう。
トレーニング組み立てのルール
 奥田のトレーニングは、コーチのパブロとの話し合いによって決められていくが、メニューを組み立てる際には次のようなルールがある。
●メニューは1週間単位で変更する
●l週間の3種目のバランスはスイム4回/バイク4回/ラン4回
●ハード週とイージー週を交互に
●1週間の中にハードな日とイージーな日を設定(基本的には火・木・土がハードで、月・水・金がイージーだが、土日が入れ替わることもある)

プールにこだわらないオージースタイル
軸になっているのが、近くのプールで行われているスイムセッションと、ほぼ毎週日曜日に海で開開催されているスイムレースへの参加。それに、[スイム+ラン]のように他種目のトレーニングとミックスしたり、ハードな練習後に海に飛び込んでイージーに泳いだりなどのメニューも加わっている。
「スイムはプールで」という考えにとらわれないのは、環境に恵まれたオーストラリアだからこそ。

ほとんとがアップダウン練習
トレーニングが行われるのはほとんどがアップダウンのあるコースだ。
●ハード&イージー
公園の中に設定した1周4Kmの周回コースを利用して行う練習。
1周ハード+1周イージー×4本
また同じコースを利用して行う10周40Kmのタイムトライアルも定番練習のひとつ
●ヒルトレーニング
山のある所まで行き、3?5Kmと距離が違う3つの上りを使ったヒルトレーニングも定番メニュー。
●ロングライド
週末に行っているロングライドも、決してフラットなコースではない。ちなみに距離は、長く乗っても170Kmまでにしているという。
「それ以上乗るのは、距離をこなせたという満足感だけ」バイクは5時間までで、その後
はランにつなげたほうが効果的という考え方だ。

バイクと組み合わせたブリック練習
「距離をかせぐためにむやみに走らない」というのが奥田の方針で、バイクとの組み合わせであるブリックトレーニングを重視している。
●ブリックトレーニング
前述のバイク練習の後に、クロスカントリーランやインターバルを、入れるなど。
「バイク、ランを構成しているメニューは、すごくハードとはいえないけれど、それぞれが質の高いもの。しっつかりとリカバリーしながら、それぞれのメニューを3、4時間継続してできるのがブリツクトレーニングの良さです」
●オージー流の楽しいトレー二ング
ほかにオーストラリアならではの楽しい練習も。(下のカコミを参照)
今シーズン、ケガや病気をすることなくトレーニングがこなせたのは、疲労が蓄積する前に、ペースを落としたり休むなど、トレーニングとリカバリーのバランスを常に考えていたから。

 来シーズンの目標は、ジャパンとカナダの2レースを予定。ハワイは2年後に再チャレンジと考えている。
「1年にレースが3本あると納得いくトレーニングができないと感じたからです。来年は2レースに絞り、まずは結果を残したい。ベースから鍛え直して、世界のトップと互角に戦えるレベルになってからハワイに臨みたい」という理由からである。
 アイアンマンを極めたいとする本格的な逸材が久々に現われた。


身体のバランスと柔軟性に気をつかう
 奥田選手が、3種目以外で気をつけていることは、身体のバランスや柔軟性について。トライアスリートだけでなく、いろいろな人が参加しているストレッチンク教室と、体幹を鍛えるストレッチンクスティビリテイクラスに加え、さらにヨガにも通っているという。
「5-10分と短いですが、朝はスイスポール(バランスボール)エクササイズと、夜の腹筋は欠かしません。バイクが強くなったのはこのお陰かもしれません」


オージーらしいこんな楽しい練習もしてます!

 地元トライアスロンクラブのクリスマスイペント。トガとは、ローマのトガ・クローズ(白い布で作られた服)からの由来。これを着てサンタの帽子を被り、パブで待ち合わせます。ビールを一杯後、皆で走り始め海治いにあるプールで100m泳ぎ-走り-パフで一杯-走り-泳ぎ-走り-泳ぎ-走る。距離は8kmほど、6?7カ所のパブ、プールは3カ所。最後のパブでは飲みたいだけ飲み騒ぐ、というオージーらしいイベントです。
 そのイベントからのアイデアで、プールまで走り-300m泳ぐ-また次のプールまで走り300m泳く・・・…ビールはなし!
 体調にもよりますが1時間半から3時間ほどの練習としています。それを2週間に1度、友達とちょっとしたレース感覚で競ってみたり、冗談を言いながら楽しんで行える練習のひとつです。

ウォーターランニング
 プールで行う時は専用のフローティンク・ベストを腰に着lナ(海水では充分な浮力があるのでなくても大丈夫)その名の通り水の中で走りますオーストラリアの主なプールはどちら片方が深く(2m程ある)足が着かない。陸上で走るより身体に(脚に)負担がなく、陸の上と同じだけ練習効果があると言われています。故障しているときなどは積極的に取り入れていました。